「人類の健康は地球環境や生態系と切り離して語ることはできない」との認識から生まれたプラネタリーヘルス。本書では、まだ社会的認知度が低いプラネタリーヘルスについて、どのような背景のなかで誕生し、どのように世界に広がっているのかを解説しています。はじめてプラネタリーヘルスに触れる人にもわかりやすく解説されている一方、注には多くの引用・参考文献が記載されており、これから専門的に学びたい人にとっても、理解を深めることができる一冊です。
データに基づいた地球の限界と現状、人間に及ぼす影響から、著者が実際に携わったプラネタリーヘルスの課題の実例として、ミャンマーのサイクロンやエボラウイルス病などが紹介されています。こうした具体的な事例を通して、気候や環境の変化が人々の健康や暮らしにどのような影響を及ぼすのかを知ることができます。さらに、解決策として、基本的な考え方をはじめ、国際レベルから政府、企業、一個人まで、それぞれの立場でできること、すべきことを示しています。ひとりひとりが地球市民として行動することの大切さにも触れ、私たちが地球の健康に貢献できることは少なくない、と著者は述べています。
毎年のように記録を更新する極端な暑さや集中豪雨などは、実際に身をもって感じることも増えてきています。本書を通して、客観的なデータやファクトを交えながら地球が直面している問題、その要因や解決方法について知り、これまで漠然と捉えていた環境問題を自分自身の問題として考え、まずは意識することからはじめたいと思います。
『プラネタリーヘルス入門 : 地球と人類の健康のためにできること』
作成者
國井修
出版者
みすず書房
刊年
2026.2