『<弱いロボット>から考える:人・社会・生きること』

作成者
岡田美智男 著
出版者
岩波書店
刊年
2024.8

 ロボットに対して、「完全無欠で、何でも独りでできる」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、この本に登場するロボットたちは、それとは真逆の存在です。すなわち、「弱みや苦手を持ち、周囲の助けを得て初めて何かを成し遂げることができる」ロボットなのです。こうしたロボットを、著者は<弱いロボット>と呼んでいます。
 その一例として紹介されているのが<ゴミ箱ロボット>です。このロボットは、ゴミ箱(市販のランドリーバスケットを転用したもの)の底にモータやホイールなどを取り付けて歩けるようにしただけというシンプルなもので、ゴミ箱ごと歩き回ることくらいしかできません。しかし、ゴミ箱がヨタヨタと歩く姿は人々の関心を引き、ついついゴミ箱の中にゴミを投げ入れたくなってしまいます。自力でゴミを拾うような機能は搭載されていないにもかかわらず、周りの人の手助けを利用して、結果的にゴミを拾い集めてしまうのです。
 この例が示すように、ゴミを拾い集めるロボットは、必ずしも「独力でゴミを拾う」ことができなければならないわけではありません。それができないロボットでも、他者の力を借りれば、ゴミを拾うことができるからです。これはロボットのみならず私たちにも当てはまることで、個人としては弱みや苦手を持っていても、他の人の助けを借りることで道が開けることもあるのだと、様々な事例を挙げつつ著者は述べます。独りで抱え込むばかりではなく、時には弱さをさらけ出し、周りを頼っても良いのだと、肩の力が抜けて心が軽くなるような一冊です。