例えば、作業の合間の休憩時間や友人とのひととき、あるいは眠気におそわれたときなど、日常の様々なシーンで私たちはコーヒーを口にします。
世界では年間約1000万トンのコーヒー豆が生産され、これを米国が150万トン、ブラジル、ドイツに次いで我が国は年間40万トン余りを消費しています。
世界中で親しまれているこのコーヒーの産地が気候変動によって将来的に半減するかもしれない、という驚きの論文「A Bitter Cup (一杯の苦いコーヒー)」が発表されたのは今から10年ほど前のこと。その研究内容は「コーヒー2050年問題」とよばれ注目されるようになりました。
本書はその論文をもとに、どのような影響が予測されているのかを解説しながら、コーヒー栽培地の現状、模索されている新しい取り組みなどを紹介しています。
コーヒーの収穫量に大きく関わるのは気温と雨量で、味と品質に優れた「アラビカ種」は極端な高温のもとでは育ちにくいそうです。雨量は少なすぎると実が小ぶりになり、多すぎると高湿度によりカビが発生します。
気候変動が進み現在の産地でコーヒーが育たなくなると、生産者が別の作物に転作して担い手が減ってしまうかもしれません。さらに、コーヒーの消費量は増加傾向にあることから、将来的にコーヒー不足が深刻化する可能性も指摘されています。
このような状況を緩和させようと、現在世界の各地で、新たなコーヒー産地の開拓や気候変化の影響を受けにくい豆の品種を探す取り組みが始まっています。沖縄なども新たな産地として注目されつつあるようです。
この先もおいしいコーヒーを飲み続けるために私たち消費者は、気候変動の抑制に努めることもさることながら、各地の新しい取り組みから生まれる商品を購入して応援することも大切だと著者は言います。本書は、ともすると自分事として受け止められていなかった地球温暖化や異常気象が、やはり身近な問題なのだということをあらためて気付かせてくれます。
『コーヒー2050年問題』
作成者
武田淳 著
出版者
東京書籍
刊年
2025.7