作成者
井奥成彦編著
出版者
慶應義塾大学出版会
刊年
2025.4
本書は2023年に福沢諭吉記念慶應義塾史展示館で行われた企画展「動物たちの江戸時代」をもとに、10人の研究者が書き下ろし、書籍化したものである。当時の様々な記録をもとに、江戸時代の人々と犬や牛、鳥や鯨などの動物との間にどのような課題があり、どうやって付き合っていたのか考察されている。
江戸時代、徳川将軍家では鷹や隼を使って、野鳥や獣を捕えさせる御鷹狩や、鹿や猪、うさぎなどを陣立てて狩猟する御鹿狩が行われていた。その様子は屏風絵にも描かれており、江戸城に幕府を構える将軍が足を運べる場所に、大掛かりな狩猟が行えるだけの動物がいたことになる。しかし、現代では東京近郊で鹿や猪が多いというイメージはあまりない。では、江戸時代の約250年の間に、どのような変化があり生息数が減少したのか。本書の第3章では文献をもとにその謎に迫っている。
今日の日本において動物との関わり方にはいくつもの課題がある。例えば、熊が町中にも出没するようになったニュースは記憶に新しい。江戸時代にも動物との関わり方に課題はあった。それが長い年月の中でどのように解決しようと努力し、変化していったのかを知ることで、現代の課題とその改善策を考えるヒントになるのではないだろうか。