本書は地球を対象とした科学の一分野、「地学」に関する本です。地学は、気象学や天文学、地質学、自然地理学など多様で幅広い学問分野を含みます。
全国の履修率の調査によると、高校において地学をフルで学ぶ生徒は全体のわずか1%程度なのだそうです。著者の大学教授・鎌田氏と、予備校で地学講師として働く蜷川氏は、「もっと地学を知ってもらいたい」という共通の思いから意気投合。地学を学ぶ機会はなかったものの、地球や宇宙に興味を持ち、学びたいと思っている人たちに向けた入門書として本書を執筆しました。
内容は、「地球の姿としくみ」「46億年の地球史」「地球をめぐる大気と海洋」「はてしなき宇宙の構造」の4章に分かれています。専門用語も多く登場しますが、文章はシンプルでわかりやすくまとめられています。
例えば「46億年の地球史」では、地形の変化の種類や地球を形作る岩石等についての解説に続き、地球の歴史が述べられます。地球の形がどのように変化してきたか、どのような生き物がどんな時代に生きたか、46億年という長い年月の変遷が簡潔に記されています。
終章には、地学を学ぶ際のポイントが挙げられています。自然現象の多くはいくつもの要素が連動して発生するものであり、それぞれの現象については「ある程度の理解」で学びを進めることが学習のコツなのだと著者は言います。初めは十分に理解できなかったことも、2度目はスムーズに分かることもあり、くり返し学習することに大きな意味があるとしています。
本書を読むことで、旅行などで知らない土地へ行った際も、その土地がどのような歴史をたどってきたのか、地面や地形からわかることがあるかもしれません。また、日常生活の中で空を見上げて、雲や星を観察すると、本書で得た知識がより身近になるのではないでしょうか。
『みんなの高校地学 : おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』
作成者
鎌田浩毅, 蜷川雅晴著
出版者
講談社
刊年
2024.12