作成者
松田行正著
出版者
左右社
刊年
2024.10
本、書籍、書物。どれも同じ物を指す言葉ですが、“書物”という言葉からはどんな印象を受けるでしょうか。本書は、文章が紙に印刷され、表紙がつき、立体物(オブジェ)となった“書かれた物”の存在感を重視して、あえて書物という語を使い、それが立体物として、どのようにデザインされてきたのか、その歴史をたどった1冊です。文字の成立から現在の冊子形態となり、様々なデザインの書物が生まれるまでの間には、宗教・文化・技術など様々な要素から影響を受けたことが分かります。
著者は、本のデザインを中心としたグラフィック・デザイナーで、本のオブジェ性を探求するミニ出版社「牛若丸」を主宰。本書でも、執筆と共にブックデザインを担当されています。一見しただけでも、目を引く鮮やかなカバージャケット、背表紙なしの糸綴じ製本、小口(本を開く方の側面)の印刷と、著者のこだわりが見て取れます。特に小口に施された仕掛けは必見です。矯(た)めつ眇(すが)めつ、著者の遊び心を探してみるのも、楽しいのではないでしょうか。
当館では、5月31日から図書展示「世界のブックデザイン2023-24」を開催します。見て触って、1冊1冊に込められたデザインの妙を感じていただけたらと思います。