『メタバースがよくわかる本:仮想世界の新ビジネス』(図解ポケット)

作成者
松村雄太
出版者
秀和システム
刊年
2022.6

デジタル世界の進歩はスピードが早く、次々に新しい技術やサービスが出てきて、ついて行くのが大変です。最近はChatGPTが話題で、少し前に出てきたメタバースやVRは当たり前の概念として扱われるようになりましたが、メタバースがどういう物なのかはよく分からず、一部の人々だけの物のように感じてしまいます。ところが、本書で紹介されているメタバースの活用事例を見ると、思った以上に身近な存在になりつつあるようです。
 メタバースとは、自身の分身であるアバターが活動できるインターネット上の仮想空間です。VRヘッドセットを使うのが一般的なため、始めるハードルが高いと思われていますが、フォートナイトというゲームがメタバースに分類されるなど、ヘッドセットを使わない画面上の仮想空間もメタバースに分類できます。また、JR東日本がスマートフォンから体験可能なオリジナルバーチャル空間をオープンしたり、バーチャルマーケットというVRイベントに三越伊勢丹ホールディングスや大丸松坂屋百貨店、ビームスが参加したりと、様々な企業がメタバースを活用しているほか、国土交通省九州地方整備局がメタバースを用いたインフラ整備の地元説明会を実施しており、公共事業でも利用されています。
 もともと、メタバースという言葉は「meta(超越した)」と「universe(世界)」を組み合わせた造語で、アメリカの作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した小説『Snow Crash』で使われたのが始まりとされています。SFで描かれた近未来の世界は、すぐそこまで近づいてきているのかもしれません。