工芸バイリンガルガイド (Bilingual guide to Japan)

作成者
澤田美恵子著  中野仁人写真
出版者
小学館
刊年
2018.12

 「工芸」という言葉が指すものたちは、他の言語では適切な翻訳語を見出すことが難しい、日本の風土のなかで育まれた独自の美と用途を兼ね備えたものであるとしています。工芸品は、人の手で丁寧に心を込めて作り続けてきたもので、それを作る技も何代にもわたって、人から人へと受け継がれてきたものです。
 本書では、代表的な工芸品約100点を1ページ1点とし、第一章「遊」、第二章「衣」、第三章「食」、第四章「住」に分類して、写真とともに日本語、英語でわかりやすく紹介しています。
 第一章では「だるま」「こけし」に加え、「狐面(きつねめん)」や「法螺貝(ほらがい)」など深く日常に溶け込んでいるものを、第二章では「西陣織」「扇子」などの伝統工芸品を紹介しています。また、第四章の「引手(ひきて)」「釘隠(くぎかくし)」を読むことで、日本建築の様式美を改めて知ることができます。最近では、あまり見なくなった「たわし」や「棕櫚箒(しゅろほうき)」など、古くから日常に溶け込んでいるものが工芸品として紹介されていることに驚きを覚えつつ、連綿と受け継がれていくことの大切さを実感しました。
 この本を読んで、世界に誇るメイドインジャパンの工芸品に出会ってみませんか。そして、日本を訪れる人々にも日本の工芸品に触れる新たな旅に導いてくれるであろう本書をお薦めします。