エコハウスのウソ, 2

作成者
前 真之 著
出版者
日経BP
刊年
2020.8

 本書は、2015年発行の増補改訂版に続くシリーズ3作目です。東京大学准教授として省エネ住宅を研究している著者は、前作において人体が暑さに強く寒さに弱いことや暖房必要期間が長い日本の気候の特徴等を説明した上で、住まいは冬を旨とすべきでありエコハウスとは化石エネルギー消費量の少ない家であるとして、住環境に関する様々な誤解を解き明かしました。
 今作ではさらに踏み込み、前半でエネルギーや家電といったテーマの最新情報を提示し、後半で私たちがとるべき具体的な対策をまとめています。
 著者が目標とする究極のエコハウスは、暖かく涼しい健康・快適な暮らしをいつまでも最小のエネルギーコストで全ての人に届けること。そして不健康・不快な室内環境をガマンしてはいけない時代に入っていると説きます。
 とはいえ、簡単には究極のエコハウスに住めないのが現実。なぜなら住宅産業やエネルギー産業にはエコハウスに関する多くの誤解=ウソが潜んでいて、それを見極めることが難しいからです。そして、そういった「ウソ」に惑わされないためには、私たち自身がしっかり勉強しなければいけないと著者はいいます。
 内閣府の調査によれば、コロナ禍でテレワークが増加しており、家族と過ごす時間が増えた人の90%以上がその維持を望んでいます。どうやら、働く世代が日中を家で過ごす時間は、アフターコロナにおいても完全には元に戻らなさそうです。となれば、やはり住環境の快適性や光熱費が気になるところ。本書は、局所不快が起こるしくみや窓の選択方法、花粉対策や節湯効果等も論じており、家を建てる人やリフォームする人だけでなく、住まいの居心地を見直す場合にも参考になります。