『気温が1度上がると、どうなるの? : 気候変動のしくみ : 地球の未来を考える』

作成者
クリスティーナ・シャルマッハー・シュライバー文 ; シュテファニー・マリアン絵 ; 松永美穂訳
出版者
西村書店
刊年
2021.2

 先日、2021年のノーベル物理賞に真鍋淑郎氏が選ばれ、話題になりました。真鍋氏の研究分野である地球温暖化は、ノーベル賞の対象とならないと言われていた地球科学の分野で、真鍋氏が2018年にノーベル賞の対象になっていない分野で顕著な功績を残した研究者に贈られるクラフォード賞を受賞されていたため、今回のノーベル賞は異例の受賞と言われています。それほどに、真鍋氏の研究が重要であると評価されたということでしょう。
 本書では、地球の気候や温室効果のしくみ、過去の気候変動、人間の暮らしが与える環境への影響などが、分かりやすく解説されています。この150年で地球の平均気温は1度上昇しています。1度くらい大したことはないように思えますが、同期間で海面が20cm上昇しており、このまま温暖化が進めば、豪雨や干魃といった災害が増えると予想され、地球温暖化の危機感が増してきていると警鐘を鳴らしています。
 特に、二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスの増加と日々の暮らしの関係を取りあげ、身の回りのものを作る過程で、どれだけ温室効果ガスが発生するのか、ガスの発生を抑えるには、何に気をつけるべきかを紹介しています。温室効果については、現在の気候モデル開発の基礎となった真鍋氏のモデルを基にしたイラストも掲載されており、地球温暖化や気候変動を知る上で、入門書となる1冊です。