5Gの衝撃

作成者
小林雅一 著
出版者
宝島社
刊年
2020.2

 5Gとは、「第5世代移動通信システム」のことである。現在のスマホに利用されているLTE技術を4Gと呼び、それに続く次世代のモバイル通信規格として動向が注目されている。逸早い普及が待ち望まれており、私達の生活を向上させるようなメリットばかりを期待してしまうが、本書によるとデメリットも存在しているようである。
 著者は、5Gは、今利用されている4Gよりも超高速で大容量のモバイル通信ができるようになると述べている。例えば、4Gではドラマのワンシーズン分をダウンロードするのに1時間程度掛かっていたのが、5Gでは30秒ほどでダウンロードが可能になるという。また、遅延時間も短くなり、ゲームをする際のリアルさの欠けやイラつきも軽減され、本格的なゲームを楽しむことができる。同時接続できる端末数も大幅に増加することから、混雑した場所でのアプリの動作速度が遅くなるという心配もないというのだ。さらに、ARやVRを活用することもでき、遠隔操作で手術を行うなど医療現場でも活躍するとの期待もされている。
 このように良いこと尽くめのような気がするが、監視社会になり、大容量データが吸い上げられ悪用され、プライバシーが侵されるという懸念があるという。さらに、サイバー攻撃をされて、5Gネットワークに繋がった制御された世界を麻痺させ、私達を不安や恐怖に陥れるという恐ろしい事態も有り得るというのだ。
 本書は、上記に挙げたメリットやデメリットの他に5Gを取り巻く世界の動向や各国の思惑についても解説されている。5Gの入門書として分かりやすく解説されている一冊である。