『努力する人間になってはいけない : 学校と仕事と社会の新人論』

作成者
芦田宏直 著
出版者
ロゼッタストーン
刊年
2013.9

 タイトルに惹かれて手に取った。
 教育者であり、哲学者でもある著者が 2001 年以来書き続けてきたブログと、専門学校校長時代の式辞、講演録などをまとめたものが本書である。
 著者が 2002 年から 2005 年まで理事・校長を務めた東京都内の専門学校の卒業式式辞・入学式式辞をまとめた第1章、第2章がとりわけ興味深い。「努力する人間になってはいけない」なんて卒業式で校長先生が言い出したら、とても驚くだろう。一見すると世間の感覚に真っ向から対立する挑発的な提言である。努力はよいもの、推奨されるべきものであり、勉強であれ仕事であれ何かに取り組むときに「努力してはならない」なんて言われたことはない。が、本文を読んで深く納得させられた。以後、努力してしまっている自分に気付いた時には言い聞かせるようにしている。
 このほかにも「自立してはいけない」「専門家に専門的な仕事を任せるな」など、その言葉だけ読むと納得しがたいタイトルがちらほら。真意は是非本文を読んで確認していただきたい。