『ビザールプランツ : 灌木系塊根植物からアガベ、ビカクシダまで、夏型珍奇植物最新情報』

作成者
主婦の友社 編
出版者
主婦の友社
刊年
2019.8

 ビザールプランツとは?アガベ、ビカクシダ?タイトルに聞きなれない単語が並んだ本のカバーには、ちょっと変わった形の植物の写真がいくつか載せられている。
 最近、多肉植物に少しばかり興味を持っていて、小さな植物を育てている。近くの花屋でも、多肉植物が売られていて、水やりや手間がかからなさそうで、見た目も可愛いからと何種類か購入した。ぽろぽろと枯れ落ちたりするが、小さな葉を採って土にさしておくと忘れかけた頃に新芽が出てきて、ささやかな感動と癒しを与えてくれる。
 本書は、私が言う小さな植物の話ではなく、もっと大きくその名の通り姿形も珍奇なビザールプランツ(=珍奇植物)についての最新情報を収載した図書である。
 多肉植物が自生する乾燥地帯に生息する3メートルまでの低木を「灌木(かんぼく)」と呼び、世界各地の灌木系植物が多数紹介されている。それらは太い幹に水分を蓄え、塊根を作っているものが多い。夏の雨季にコップ2杯ほどの水分だけで生息する「パキプス」や、樹液に「芳香成分」を含み、古くから香料として珍重されたものや、薬用植物として利用されたもの等々。中でも「ミルラ」は古代エジプト時代から精油を利用して作られるミイラ作りに欠かせない材料で、「ミイラ」の語源になったとされている植物である。
 そのほかに、アガベ属、ビカクシダ属についても紹介している。アガベという名前は初めて知ったがその写真を見ると馴染みのある姿でどこかの家で見た記憶がある。ビカクシダも花屋で見かけて、不思議な姿にしばらく眺めていたことがあった。今回、初めて名前とその姿が一致し、少しうれしくなった。
 本文ではこれらの植物についての知識と栽培の基本などが掲載されている。また、巻末には、クリエイティブディレクションである石倉ヒロユキ氏による「多肉植物3/4世紀」と題した本書監修の国際多肉植物協会初代会長小林浩氏の多肉植物との出会いとエピソードが紹介されていて興味深い一冊であった。