『トコトンやさしいVRの本』

作成者
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター 編
出版者
日刊工業新聞社
刊年
2019.2

 最近VRやARといった言葉を耳にするようになりました。VRとは、バーチャルリアリティ(仮想現実)の略で、コンピューターを用いて人工的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかのように感じさせる技術のことです。また、ARはオーグメンテッドリアリティ(拡張現実)の略で、現実の世界を映した光景や映像に、デジタル情報を重ねて、現実の知覚体験を拡張する技術です。本書は、そんなVRやARを学ぶ人向けの入門書です。

 バーチャルリアリティという言葉が最初に使われたのは1989年のことで、実は平成と同い年だそうです。ゲームなどに使われ身近になってきた技術で、教育や医療など多くの分野での活用が期待されています。VRの解説書なので、科学技術や工学関係の内容ばかりかと思っていましたが、1つの章を使って五感の科学について書かれています。3Dメガネを使うと平面に映し出された映像が立体的に感じられるように、VRは知覚などを騙すことで現実らしさを感じられるように工夫されています。本書を読むとVRがいかに脳を錯覚させるか、という技術なのだと感じます。

 ゲームや遊園地のアトラクションに使われ、VRに触れることができる機会は増えてきましたが、実際に体験したことがある人は多くはありません。しかし、スマートフォンやパソコンを使えば、簡単に体験できるコンテンツもあるそうです。カセットテープからCD、VHSからDVD・Blu-rayのように、様々なものがアナログからデジタルに変化してきましたが、平成に生まれたVRという技術によって、令和にはデジタルからバーチャルへと変化し、VRが当たり前の時代になっていくのかもしれません。