『晴れたら空に骨まいて』

作成者
川内有緒著  
出版者
ポプラ社
刊年
2016.11

「散骨」という言葉から、どのようなイメージを持つだろうか。まだ、あまり馴染みのない見送り方かもしれない。
 本書は、亡き夫の骨を自ら砕き、8年かけて世界中に散骨した妻。ミクロネシアのロタ島に移住したのち、妻を見送った男性。旅の途中で客死した父親を現地で見送った家族。登山家だった夫との生前の約束を果たすため、ヒマラヤでの過酷な散骨に友人と共に挑んだ大家族。そして、インドで出会った友人を看取(みと)り、インドの川に還(かえ)した若き装丁家とその家族、大切な人を想うかたちは一つである必要はなく、その想いを「散骨」というかたちで見送った5組の人々の物語である。
 著者も自身の父親を家族や友人と見送った経験に触れている。ノンフィクションでありながら、読後は、晴れやかな気持ちにさせてくれる一冊である。