『深読み!絵本「せいめいのれきし」(岩波科学ライブラリー 260)』

作成者
真鍋真著
出版者
岩波書店
刊年
2017.4

 世界中で愛されているバージニア・リー・バートンの「せいめいのれきし」。日本では1964年に石井桃子氏によって日本語訳され、その後53年間にわたって多く人に愛されてきました。本書の著者、古生物学者・恐竜学者の真鍋真氏もその一人で、2015年の改訂版出版時には、監修も担当されています。
 著者は絵本の改訂作業時、長年愛されてきたバージニア・リー・バートンの絵や文章、石井桃子の日本語訳には最低限の変更しか手を加えなかったそうです。『せいめいのれきし』が出版されてから50年、科学界では新たな発見が相次いでおり、改訂版絵本には最新情報を反映させたそうです。たとえば2006年に惑星から除外された冥王星について、改訂版では「プロローグ2ば わたしたちの太陽とその惑星」から冥王星についての記述が消えています。
 本書は絵本には書ききれなかった最新の研究成果や、絵本を読んでもっと知りたくなるだろう知識について詳しく紹介されています。
 発生生物学者の田村宏治氏、生物学者の福岡信一氏と日本を代表する研究者たちも『せいめいのれきし』を幼少時に愛読し、科学者の道を志したそうです。本書には未来の科学者たちに『せいめいのれきし』が読み継がれていくことへの、著者の熱い想いが込められています。『せいめいのれきし』『改訂版せいめいのれきし』を読み比べ、そして本書『深読み!絵本「せいめいのれきし」』で知識を深めてみるのはいかがでしょうか。