『ちいさい舟』は、美術家・熊谷 誠の生家の屋根裏に仕舞われていた舟をモチーフにつくられた絵本です。熊谷の絵に、編集者で絵本専門の書店を営む妻の聡子が文を書きました。
-----なぜ、屋根裏に舟があったのか。
作家の暮らす京都市伏見区は、万葉集にも歌われた巨椋池周辺の横大路沼に接していました。巨椋池は水害と治水工事を繰り返し、昭和の干拓事業で今は記録に残るのみになりましたが、古い家には水害時用に舟を棄てずに備えていたのでした。(「あとがき」より)
頭上の舟の存在を知らず育った熊谷にとって、それは「おだやかな年月が何十年も続いた裏付け」であり「大きな流れと変容の続きに現在があることを実感させるもの」だといいます。
昔むかし、このあたりには川が流れててね…
遠くの山まで見渡せてね…
時を旅したゆたう一艘の舟の物語。熊谷による原画と美術作品でご紹介します。
▪️同時開催『となりのゆうくん』作品展
「今度の席替えでとなりになったアイツは、ぼくにだけムスッとしてる。先生が『となりの人と相談しましょう』っていう時も、なんにもしゃべらないから、なんにも発表できない。ぼくは真剣に困ってるのに、お姉ちゃんは冗談みたいなアドバイスしかくれない」。
悩むと気持ちは下降線。でも、ちょっとしたきっかけでぱっと上昇! 子どもならではの揺れやすい心の動きを、アニメーション作家の多田文ヒコ(絵)と熊谷聡子(文)が豊かに表現した作品(プリント画)を展示します。
【関連イベント】
その1 『ちいさい舟』熊谷 誠トーク 2026.7.25 [土曜] 14:00~15:30 ・申し込み受付開始 6/16火曜9:00~
その2『となりのゆうくん』 多田文ヒコ、熊谷聡子トーク 2026.8.8 [土曜] 14:00~15:30 ・申し込み受付開始 6/16火曜9:00~
熊谷誠(くまがい・まこと)1968年京都生まれ。93年京都精華大学大学院美術研究科 修了。身の周りで起こる出来事を手掛かり、無限に続く時間の中で個人の記憶や想いの関わり方をテーマに版画、絵画、オブジェを制作している。国内外で個展、グループ展多数。
熊谷聡子(くまがい・さとこ)1970年生まれ。93年京都精華大学美術学部造形学科版画専攻卒業。出版社勤務を経て絵本店「絵本のこたち」店主。UEMON BOOKS代表。屋号のUEMONは先祖の名である宇右衛門から。http://uemonbooks.com/