『生成AIを活用したレポート・論文の書き方 : AI for learning』

作成者
伊藤貴之
出版者
慶應義塾大学出版会
刊年
2026.1

 2025年4月、慶應義塾大学の必修科目で施された、生成AIを使った課題の丸投げへの対策が話題になりました。配布資料に目視しにくい特殊な指示を仕込み、AIにそのまま読み込ませると意図しない内容が出力されるという仕組みです。生成AIが身近なものとなり、大学のレポートや論文の作成にも利用されるようになってきたことから、多くの大学がガイドラインを設けて、学習過程での「補助的な利用」を推奨し、適切な付き合い方を模索しています。
 本書は、お茶の水女子大学教授である著者が、課題を出す立場として、レポートや論文作成において生成AIを補助的に活用する方法を解説したものです。「テーマの決定を丸投げするのではなく、複数案を出してもらってから自分で選ぶ」「文章を丸ごと書かせるのではなく、書いた文章の不備を指摘してもらう」など、AIに答えを出させるのではなく、自ら考え判断するための実践法と注意点を、具体的に紹介しています。
 授業によって生成AIの扱いはさまざまで、使用を完全に禁止する場合もあれば、使用を必須として、出した指示(プロンプト)ごと提出させる場合もあります。著者は、生成AIを禁止する課題について、自力で文章を作成するスキルを身につける機会と捉えてほしいと述べています。使用の可否に関わらず一貫しているのは、その課題が学生の成長につながるか、という視点です。
 さらに本書では、学生時代に培った生成AIのスキルを、就職活動や社会人になってからの仕事に活かす可能性についても示唆されています。生成AIを使って楽に目的を達成するのではなく、自ら考え、学び、成長するための「パートナー」としてどう活用していくか。これからの時代に必要な基本姿勢を示してくれる一冊です。