『池澤夏樹の世界文学リミックス』

作成者
池澤夏樹著
出版者
河出書房新社
刊年
2011

  「社会に大きな変動があった時、その中に生きる個人の運命が大きく変わる時、それを記録して長い目で見た意味づけを行うのはやはり文学である。」と、 まえがきで述べられている池澤夏樹さんが個人編集で作られた世界文学全集は、随分と話題になりました。そこには欧米だけでなく、アジアやアフリカからも現代を映し出す 作品が収められています。その全集の刊行に合わせて連載されていたコラムをまとめられたのが、『池澤夏樹の世界文学リミックス』(連載全部をまとめた完全版もあります)です。
  全集にある作品だけでなく、そこからつながる作品も軽妙な語り口で紹介されています。まだまだ読んでいない作品がたくさんあることを実感し、わくわくするとともに、 読んだことがあるはずの作品をも「なるほど…そうなんだ」ともう一度手に取ってみたくなります。知らなかった時代背景を知り、気づかなかった心情をくみ取ることで、 また違った視点からより深く味わうことができそうです。カラフルな世界文学全集をひとつひとつ読み込む楽しみへとつながる一冊です。