プランゲ文庫

プランゲ文庫(Gordon W. Prange Collection)とは

ゴードン・W・プランゲ文庫は、米国のメリーランド大学図書館が所蔵する、我が国が連合国に占領されていた期間のうち1945年から1949年にかけて国内で刊行された出版物のコレクションです。

その歴史

連合国最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)民間検閲部隊(Civil Censorship Detachment, CCD)は、占領政策の浸透と思想動向の綿密な調査を行うために検閲を実施した。検閲の対象は、我が国で出版されたあらゆる図書、雑誌、新聞のほか、映画、演劇、放送番組はもとより、学級新聞のようなミニコミ誌、郵便、電報に及び、さらには電話の盗聴も行われた。検閲制度は1949年の10月に終了し、同年11月にCCDが廃止されるに際し、検閲のためにCCDに提出されその後保管されていたこれら大量の資料の処分が問題となった。

1942年米国メリーランド大学の歴史学教授の職を休職し、海軍士官として軍務につき、1946年からGHQ/SCAPの参謀第2部(G-2)で文官の修史官としてマッカーサーのための戦史の編纂作業にあたっていたゴードン・W・プランゲ(Gordon William Prange 1910-1980)は、この資料の歴史的価値に注目し、G-2部長ウィロビーとメリーランド大学学長バードを説得して、そのうちの図書、雑誌、新聞等をメリーランド大学に移管させることに成功した。

同大学では、1962年から資料の整理を開始し、1978年には正式に文庫名を「ゴードン・W・プランゲ文庫 -- 1945-1952年日本における連合国の占領」と命名した。プランゲ文庫は、雑誌約13,800タイトル、新聞・通信約18,000タイトル、図書約73,000冊、通信社写真10,000枚、地図・通信640枚、ポスター90枚からなる。このなかには、約60万ページの検閲文書を含んでいる。

主な内容

1945年〜1949年の日本で刊行された雑誌及び新聞・通信のもっとも包括的・網羅的なコレクションであり、全国各地のミニコミ誌・紙までを含んでいる。事前検閲が行われた刊行物のなかには、検閲官により削除や修正の指示が書かれたゲラ、記事中で問題となった部分の英訳、検閲官のメモが書き込まれた関連文書(検閲文書)が含まれるものが多数ある。

  • 当館ではこのコレクションをマイクロフィルムにより収集しています。(雑誌はマイクロフィッシュです。)
  • 閲覧は2F貸出・返却カウンターへお申込ください。