『アボカドの歴史』

作成者
ジェフ・ミラー著 伊藤はるみ訳
出版者
原書房
刊年
2021.2

 アボカドは、デパ地下の惣菜売り場ではサラダとして、ファストフードではホットドックやサンドイッチの具材として、寿司店ではエビやサーモンと組み合わせるなど人気のある食材です。トロのような柔らかさと脂が乗った独特な食感で、様々な食材や調味料と合うためお好きな方も多いのではないでしょうか。
 世界的な人気食材であり、日本のスーパーでも手軽に購入できるアボカドですが、100年ほど前まではアフリカの山間部でしか知られていない希少な食材でした。本書は、アボカドが世界中の人々から愛されるようになった経緯や生産者たちの苦労など、海外の習慣やセレブのエピソードを織り交ぜながら紹介しています。
 アボカドは、クスノキ科の一種で一億年以上前から存在していたといわれ、数千年に渡り品種改良が重ねられました。1900年代初頭のアメリカでは、イメージ戦略のため、上流階級向けの食材として売り出されましたが、当初は人気がなかったといいます。しかし、アボカドが持つ栄養価や美味しさ、そして食感が他に類を見ないことから人気を博すようになり、次第に世界へと広まりました。
 近年では、目の疲れや関節痛に効く栄養素が含まれていることが注目され、食に関すること以外に、医学的効果も期待されています。最終章では、コーヒーシェイクやカクテルなどユニークなレシピやメニューが紹介されていたりと、アボカドが持つ意外性と可能性に驚かされ、興味をそそられる一冊となっています。