『文学効能事典 : あなたの悩みに効く小説』

作成者

エラ・バーサド, スーザン・エルダキン著 / 金原瑞人, 石田文子訳

出版者

フィルムアート社

刊年

2017.6

 読書療法(ビブリオセラピー)を知っていますか。読書療法とは、一般に精神症などの治療のために本を使って行う心理療法ですが、本書では心身の不調や人生の悩みに対して適切な小説を処方することと定義しています。この本ではそれぞれの症状への処方箋として小説を紹介しているのですが、取り上げている症状や悩みの種類が実にバラエティに富んでいます。「恋人と別れたとき」や「ホームシックのとき」といった一般的な心の悩みから「花粉症のとき」や「歯が痛いとき」、「車酔いのとき」といった体の症状、「薬物依存症のとき」や「職を失ったとき」などの深刻な症状があったかと思えば、「悪魔に魂を売り渡したくなったとき」、「幽霊に取りつかれたとき」や「ネクタイに卵がついていたとき」、「恋した相手が尼僧でもあきらめられないとき」といった現実にあるとは思えないような状況まで、200近くもの症状が挙げられています。
 本書の翻訳者である金原氏も訳者あとがきで述べているようにどこまで本気でどこまで冗談なのかわからないような回答も多々あり、本当に悩みに効くのかといわれると疑問に感じますが、なるほどと思わせるものもあり、読んでいて楽しい本となっています。また、「新しい本に目移りしてしまう」や「忙しすぎて本が読めない」、「読み終わるのが怖い」、「人に貸した本が返ってこない」などといった読書の悩みに関するものや、ケース別おすすめ小説のリストもあります。
 本書を読めば、きっと気になる本が見つかると思います。今抱えている悩みの解決への糸口が見つかるかもしれません。