『働く文学 : 仕事に悩んだ時、読んでほしい29の物語』

作成者

奥憲太著

出版者

東海教育研究所

刊年

2017.6

 「働くこととはどういうことだろう?」
    最初のなげかけに、思わず立ち止まり考えてしまいました。現在進行形で働いている人々はどう考えて働いているのだろうか?そもそも働くとはどういうことだろうか?
  第一部「働くことを探して」では、「働くこと」とはどんなことか考えるために、著者が出会った働く人々の例を紹介しています。子どもや家族のために働く人や、自分探しのために途中下車する人、働くことが出会い直しの旅となった人など、この世の中には様々な仕事があって、働く人もその働き方も多種多様です。最初から好きなことを仕事にして、毎日楽しくやりがいを感じながら働いている人はとても幸せでしょうが、実際はそんなに多くはないかも知れません。多くの人々が本書のテーマである「働くこと」の答えを模索し、悩みながら日々を重ねていることでしょう。
   第二部では、働くこととは何か、その答えを探す過程で迷い、見失い、立往生した時のヒントを示しています。そんな時は、ハウツー本や著名人の成功本でもなく、静かに文学の中の言葉に耳を傾けてほしいと「読んでほしい29の物語」として、敢えて文学作品を紹介しています。自分にとって働くことは何か、答えはこうだと示しているわけでは決してありません。働いていると、人との出会いや感謝、喜びなど、充実感で楽しい時もありますが、疲れる時や、迷う時、心が折れそうになる時、逃げ出したくなる時もあります。そんな時に文学を読むことで、思いもよらなかった場所に連れて行かれ今まで見えていなかったものが見えたり、文中の言葉に心揺さぶられたり、孤独から放たれたり、自分の中で眠っていた何かが動きだしたり、新しい何かが目覚めたりすることがあるでしょう。
   著者は本書を通して答えを見つけること、つまりは自分自身を見つけることだと言っています。文学の中に答えが見つけられるかどうか、今働いている人だけでなく、これから働こうとしている若者にエールを送る一冊です。