『多様性と出会う学校図書館:一人ひとりの自立を支える合理的配慮へのアプローチ』

作成者

野口武悟, 成松一郎編著

出版者

読書工房

刊年

2015.7

 2016年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行されました。これにより国と地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し実施することが責務となりました。学校教育でも一人ひとりのニーズをもとに、状況に応じた変更や調整といった合理的配慮が求められます。
  本著では、学校図書館における子ども一人ひとりのニーズ、そしてそれに応える読書スタイルやサービスの提供といった「多様性」との出会いを紹介しています。
 例えば、物語が好きだけれど読み書きの障害があるGさんは、学校で読書感想文の宿題が出たときに、図書館で読み聞かせをしてくれている図書整理員さんに読んでもらいすばらしい読書感想文を書くことができました。でも読んでもらったことをズルと感じたGさんは先生にそのことを告げると、読書感想文の宿題は書物に触れて心が豊かになることが大切なのでズルではないと先生は伝え、Gさんはとてもうれしく思ったそうです。その後図書館では、少人数での読書会をするようになり、Gさんも参加して友だちと読書の感想を交流することができるようになりました。
  本著は学校図書館の取り組みを紹介していますが、読書に合理的配慮が必要な子どもは障害のある子どもだけではなく、外国につながりのある子ども、家庭環境の複雑な子ども、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の総称)の子どもなど、実に多様です。当事者のみなさんの特性や思い、そして具体的な対応例が紹介されています。「多様性」を理解する一助となる一冊です。