『8歳から80歳までの世界文学入門 (対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義4)』

出版者
光文社
刊年
2016.8

本書は一般財団法人出版文化産業振興財団が主催し、光文社が共催者として企画し、東京大学文学部文芸論研究室が協力して連続公開講義として行われた沼野充義氏とゲスト講師との「世界文学」をテーマとした対談を基にしたシリーズの4冊目のものです。この連続講義は2009年から行われており、本書には2014年から2015年にかけて行われた池澤夏樹氏、小川洋子氏、青山南氏、岸本佐知子氏、マイケル・エメリック氏とのそれぞれの対談が収録されています。
2009年から現在まで、東日本大震災やテロリズムに対する危機など日本はもちろん世界中の状況が目まぐるしく変化していくなかで「文学」にかかわる人々が本気で「文学」について語り合った記録です。本書の中で著者の沼野氏は「文学以外に何もできない人間は――中略――すべてが絶望に覆われそうになってもそれでも消すことのできない希望の光があることもわかっています」と述べられています。このことは、文学は政財界の発展に直接寄与しないかもしれないが「現在」は文学をやっているからこその出番がある社会でもあるということで、そのことを若手研究者たちに語りかけています。「近視眼的には無用に見えても、やっぱり本当の意味では役に立つ、大事なものなんだと言葉にして言いたい」という著者の熱い思いが詰まった1冊です。