『幕府のふみくら : 内閣文庫のはなし』

作成者
長澤孝三著
出版者
吉川弘文館
刊年
2012.9

  徳川家康の蔵書を収めた文庫(ふみくら)である紅葉山文庫。その流れをくむのが内閣文庫です。しかし、「内閣文庫」という組織としての名称は消 滅して現在は存在しません。そのため、実際にそこで勤務していた方々がどのような仕事をしていたのかはあまり知られていないのが実情のようです。 本書の著者は長年国立公文書館に在籍し、最後の内閣文庫長を勤められた人物です。その著者によって、内閣文庫の歴史、所蔵資料の特色、集書、保管、 補修・防虫、展示会などの解説がなされ、貴重な古典籍や古文書が受け継がれてきた内閣文庫の姿を明らかにするというとても興味深い内容の一冊となっています。
  ところで、当館の館内には一年中を通して、気温・湿度が一定に保たれた貴重書庫があります。その貴重書庫では古文書・古典籍・絵図などを収蔵し ており、学術的調査研究などを目的とした閲覧請求に応じて資料の提供を行っています。 当館に所蔵している古文書 は、その整理・保存・調査作業の一端をボランティアの方々に担っていただいており、現在は当館へ寄託された下市の林業家の 永田家文書 の整理を行っています。また、くずし字に関する 知識や技能の習熟を目的とした古文書講座を開催していますが、これは当館の古文書などの歴史資料の整理にボランティアとして活躍いただける人材養 成の場ともなっています。
  ぜひ、今回ご紹介した本を手にとり古書や古文書の造詣を深めるとともに当館の文書館としての機能や活動をより幅広い方々に知っていただければ幸いです。