『ページをめくる指:絵本の世界の魅力』

作成者
金井美恵子著
出版者
平凡社
刊年
2012.4

  この本は、雑誌『母の友』に1996年4月から1998年3月まで連載された、絵本について書かれた金井美恵子氏のエッセイに、児童文学につい ての文章と石井桃子さんへのインタビュー(1994年)を加えて、今年4月に発行されたものです。
  ポケットサイズの大きさと、カバーにある懐かしい絵本の写真に惹かれ、思わず手に取ったのですが、昔読んだことのある絵本から読んだことのない 絵本まで多彩な絵本が紹介されていて、とても興味深く読むことができました。著者のエッセイから幼い頃の記憶を呼び起こしつつ、もう一度読んでみ たくなった絵本も多くありました。
  エッセイは大人向きですが、絵本は子どものためのものだといます。描かれた絵と文章、言葉の織り成す世界が、ページをめくるたび次々に広がって ゆきます。ワクワクしたり、ドキドキしたり、穏やかだったり・・・。本の持つ魅力的な世界が、「ページをめくる指」から読者の五感へと浸透してゆ く感覚は、絵本ならではのものと言えるのではないでしょうか。
  先日『かいじゅうたちのいるところ』の絵本で知られるモーリス・センダック氏がお亡くなりになりましたが、本著でもセンダック氏の作品について 書かれています。
   当館3階で追悼の展示もしていますのでご覧になってください。