ウオッチング図書館の仕事 =資料の相互利用サービス=
当館では平成8年から、学術情報センターのNACSIS−ILL(Inter-Library Loan:図書館間相互貸借)システムを利用できるようになり、また、平成9年から、国立国会図書館総合目録ネットワークも利用できるようになりました。平成10年からはOPACで奈良と橿原の両県立図書館の蔵書検索が可能になりました。さらに、インターネットに蔵書データベースを公開する図書館も増えつつあり、利用者へ幅広い資料提供を迅速に行うことができるようになっています。このような図書館間における資料の相互利用サービスについて、一般カウンターでの業務を中心にご紹介します。
お探しの本がないときは・・・ |
● NACSIS−ILLシステムを利用して取り寄せることができます
利用者の方も自由にインターネット上に公開されているデータベース、NACSISWebcatにアクセスして調べられます。同時に所蔵館の確認もできます。NACSIS−ILLに加盟しているのはほとんどが大学図書館になります。また、雑誌は貸出しないので入手は複写のみということになります。ただ、大学は専門書や学術雑誌などの収集範囲が広いので公共図書館では所蔵していないような資料を所蔵しているという点でメリットがあります。また、資料の貸借と複写がオンラインで利用できます。
● 国立国会図書館総合目録ネットワークを利用して調べることができます
参加館が公共図書館なので、ほとんどの資料の館外貸出が可能です。NACSIS−ILLが学術的資料を豊富に所蔵しているのに対し、比較的ポピュラーな資料なら公共図書館が豊富といえます。ほとんどの図書館でFAXによる申込が可能で、迅速な対応により依頼してから資料が届くまでさほど日数がかかりません。
● 県内の図書館の所蔵資料は、当館ホームページの“お役立ちURL”からもアクセスして調べることができます
平成12年3月現在、奈良市立図書館、生駒市図書館、田原本町立図書館がOPACを公開しています。
お近くの図書館あるいは当館OPACで検索をしても資料が見つからないときは、職員におたずねください。
資料を取り寄せるときは・・・ |
「図書館間貸出申込書」に資料名・著者名・出版者名・出版年等と個人情報を正確にご記入ください。担当係では「申込書」をもとに所蔵先の確認と依頼先の選択をします。NACSIS−ILLシステムでは料金や貸出期間なども大学によって異なりますので、様々な条件を考慮して選択します。大学の場合、図書は国立国会図書館同様、取り寄せても館内閲覧のみで館外貸出できないのが原則のようです。依頼してから約一週間で資料が届きます。
県内の資料であれば連絡車の運行により比較的短時日で届けられるようになりました。
資料の郵送に費用がかかるときは、利用者のご負担となります。
文献複写を依頼したいときは・・・ |
当館に所蔵していない学術論文、研究報告等の複写文献もNACSIS-ILLを利用して取り寄せることができます。「ILL資料複写申込書」に著者名・論文名・収録文献・巻号・発行年と個人情報をご記入ください。その際に著者名・論文名・収録文献・巻号・発行年などの基本的な情報が一部でも欠けていたり、誤っていたりすると文献の同定に時間を費やすことになりかねません。迅速な処理のためにも、相手館の立場に立って正確を期すようお互いに留意しなければなりません。複写物も約一週間で届きます。
複写料金や取り寄せにかかる費用も図書の取り寄せと同様利用者のご負担となります。
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コンピューターネットワークの広がりにより、相互利用サービスも、単館ではできない幅広い資料利用が可能になりました。システムを通して迅速、的確に依頼や受付を行うことができるようになりましたが、担当係では機械処理ではあっても依頼に際してメッセージ欄にコメントを付す等、図書館相互のヒューマンコミュニケーションを心がけています。
もし、県立図書館に所蔵していない資料が必要になったら・・。そんな時はどうぞ図書館員に相談してみてください。
(松村 順子)