県立奈良・橿原両館が所蔵する資料の書誌データベース構築のため、5ヶ年計画で進めてきた遡及入力作業も4年が過ぎ、あと1年を残すのみとなりました。
現在、遡及入力により作成され、当館ローカルシステムに反映されている書誌データの件数は図書雑誌を併せて約31万件にのぼります。このデータはOPACに反映され、インターネット上でも検索可能となっています。
内訳としては、図書が奈良・橿原併せて約25万件、雑誌が奈良の購入分6万件で、これは当初遡及対象とされた資料総数の約9割になります。
今後の遡及作業計画としては、新たに入力対象となった大正期以前の和本・漢籍類約8,000点と保管転換資料、寄贈資料の約13,000点などを含めた未入力資料の登録作業及び登録データの確認・修正作業が引き続き行われ、残された期間内で効率よく作業を進めていく必要があります。
まず、未入力資料の登録作業については学術情報センター(学情)のNACSIS-CATの総合目録に登録されていないデータをどのように作成していくかが課題になります。当館しか所蔵していないようなオリジナルな資料、特に郷土資料においては、私家版資料や複製資料、パンフレット資料等を製本した自館作成資料があり、一方では和本・漢籍類など学情への登録実績が少なく、書誌の同定識別も難しいものが残っています。これらは書誌の各事項の確認がしにくく、確定した書誌データ作成に手間取ると予想されます。
また、未処理になっていました逐次刊行物約18,000点については、館内で取り扱いの合意形成を行った上で、図書と雑誌の各ファイルに振り分けを行うとともに、平行してデータ登録を進めていくことになります。
登録データの確認・修正作業では、当館が作成し学情に登録したオリジナルデータ約5万件の書誌データを中心にデータのチェックを行う必要があります。学情の書誌データは参加機関の多くの目録作成者の目に触れ、常に書誌の修正が行われ、より内容の充実した、精度の高い書誌データになります。そのような環境から、登録したデータは常に新陳代謝を行っており、それに対応したデータ修正が今後も続くことになります。
雑誌のデータ作成は平成10年7月末から始まり6ヵ月で約5万件が入力されました。データ作成の手順としては、学情から書誌データを取り込み、ローカルシステム内で作成された資料管理用各データと併せて、巻号自動更新機能を使いながら巻号単位の所蔵データを作成しています。こちらの方はシステムの機能の良さも手伝って、順調に作業が進められています。今後は作成されたデータを加工して、一括して学情に所蔵データの登録を行う予定にしています。
また、平成10年度からは公文書データベースの構築作業も始まっています。これは、奈良図書館が所蔵する県行政起案文書や郷土関係の古文書の書誌データを作成し公開するもので、学情の図書データファイルを基に各項目を適宜変更して、書誌階層的な展開へも対応できるように作成されたものです。現在約1,000点のデータが入力されてます。
以上の「図書」「雑誌」「公文書」の三つのデータは今後、OPAC上同一の画面で検索が可能になり、より充実した所蔵データの提供が行われることになります。
(鈴木 陽生)