県立奈良図書館でのインターネットの利用


 当館ではインターネットを活用した業務やサービスをおこなっています。以下にそれぞれの活用状況をご紹介いたします。
 業務面では、資料の収集において従来の冊子体の各種新刊情報や新聞等の書評欄に加えて、インターネットの各書店や出版社のホームページから得られた情報が役立っています。具体的にはよく利用するホームページとして日本書籍出版協会と図書館流通センターが挙げられます。日本書籍出版協会のホームページ(http://www.books.or.jp/)では1997年6月までに発行され、現在日本で入手可能な約53万冊の書籍を検索できます。当館では資料収集の作業上、出版年の古い資料が入手可能かを確認するときによく利用します。また図書館流通センターのホームページ(http://www.trc.co.jp/)では1980年1月以降に出版された日本の新刊書籍を検索できます。当館では皆さんから要望のあった希望図書の書誌事項を確認する時や出版資料の最新情報を把握するためによく利用します。
県立奈良図書館のホームページ  こうして収集された資料を整理するため学術情報センターとインターネットで接続し、共同分担目録方式による総合目録データベースの作成に参加しています。この共同分担目録方式は、当館が所蔵目録を作成する時、他の参加図書館が既に作成した書誌情報を自館の蔵書データに利用できるメリットがあります。しかしながら、逆に当館が新しく書誌データを作成する時には高い精度が要求されますし、総合目録データベースの既存データを利用する時は当館のローカルな情報を加工する必要があります。いずれにしましても現在進行中である当館蔵書の遡及入力や新しく収集した資料の整理はすべてこのシステムでインターネットを通じてオンラインでおこなっています。
情報提供業務であるレファレンスサービス業務でも、インターネット上の情報資源を活用しています。当館資料では回答できない質問に関する情報や政府の最新情報等(審議会答申など)がサーチエンジンや分野専門の検索サイトで検索することにより確認できることもあります。それらの情報は著作権の権利問題等で、プリントアウトや各種記憶媒体にダウンロードして提供することはできませんが、有用な情報源となっています。
 一方、サービス面では、まずインターネット上で当館の所蔵資料を検索できることが挙げられます。24時間中いつでもご家庭あるいは職場・学校からパーソナルコンピュータなどを利用して当館のホームページにアクセスいただくことにより、求める資料が所蔵されているかどうか、貸出中かどうかが確認できます。また、このホームページでは当館の利用案内をはじめ奈良県生涯学習ガイド、地域生活情報などを発信しています。平成11年2月現在、館内でも利用者の皆さんに資料情報を検索していただくための端末機器を閲覧室に3台、郷土資料室に1台設置しています。また、これらの機器はインターネットに接続しているので当館の所蔵資料検索のみならず、大学図書館等の資料の所在情報が把握でき、資料の相互貸借や文献複写の依頼先を確認することなどに利用できます。もちろん確認できない資料は当館職員が業務用端末により再調査して、できる限り皆さんの必要な文献収集のサポートをおこなっておりますので、カウンターでお気軽にお問い合わせください。
 そのほか、インターネットの機能のひとつである電子メールを利用した電子メールレファレンスも試験的に受け付けています。当館の電子メ−ルレファレンスは平成9年2月、ホ−ムペ−ジの開設と同時にサ−ビスを開始しました。現在のところ試験的に実施するということで、利用対象等の制限は行っていませんのでどなたでも利用することができます。レファレンスサービスの内容としては、図書の所蔵、所在調査を中心に、各主題の文献調査、事実調査等、当館カウンタ−で行っている通常のレファレンスサービスと同様です。
 このように当館ではインターネットをあらゆる業務・サービスで活用しており、現在では不可欠なものとなっております。新県立図書館整備基本構想でめざしている情報センター機能を実現するために、世界規模の標準的なネットワーク基盤であるインターネットの多様な利用が当館で今後ますます重要になっています。

(尾松 謙一)

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奈良県立奈良図書館「芸亭」