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俘虜郵便

ソ連政府により抑留者と家族の交信のために支給された往復葉書。
葉書の支給は3ヶ月に1通の決まりだったが、作業成績や態度により支給回数は増減され、賞罰に利用された。また、内容は検閲され、収容所や労働内容について書くことは禁止された。日本国内では米軍の検閲もなされたため、葉書には三種類の印が押されている。菱形はソ連検閲印、金魚鉢形は米軍検閲印、丸形はウラジオストックの消印。

俘虜郵便
俘虜郵便(表)
俘虜郵便(裏)

ミナサマオゲンキデスカ・・・ソノゴノゴブサタ
オカワリモナケレバト ソノコトバカリデス
シベリヤニアキオトズレ ハヤクモフユノ
サムサヲオモハシテオリマス サダヲ
アイカワラズ ケンザイ ゲンキデハタライテ
オリマスユエ ナニトゾ ゴアンシンクダサイ
イエヲハナレテ 七シユンジユウ・・・・・・
コキョウノミナサマハドンナニカオカワリ
ノコトデセウ イノルノハタヾブジノミ
マサフミモサゾカシ オヽキクナツタ
コトデセウ マタヲアニワ・・・・・・
アネヤコドモハ・・・
ブジデアレバ マタヨロコビノヒモクル
コトデセウ
ドウカゲンキデヰテクダサイ
カキタキコト ヤマホドアレド シメン
ユルサズ マタ ナニオカイテヨイヤラ
シンセキヤキンジョノ ミナ〱
サマニモヨロシクオツタヱクダサイ
デハコレニテ
ミナサマカワリナカレカシト
イノツテオリマス

皆様お元気ですか・・・その後のご無沙汰
お変わりもなければと、そのことばかりです。
シベリヤに秋訪れ、早くも冬の
寒さを思わしております。定男(注:この手紙の筆者)
相変わらず健在、元気で働いて
居りますゆえ、何卒ご安心ください。
家を離れて七春秋
故郷の皆様はどんなにかお変わり
のことでしょう。祈るのはただ無事のみ
マサフミもさぞかし大きくなった
ことでしょう。マタオ兄は・・・・・・
姉や子どもは・・・
無事であれば、また喜びの日も来る
ことでしょう。
どうか元気で居ていください。
書きたきこと山ほどあれど、紙面
許さず。また何を書いてよいやら。
親戚や近所の皆々
様にもよろしくお伝えください。
ではこれにて。
皆様変わりなかれかしと
祈っております。

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