図書点検のはなし

図書情報館では平成23年5月9日(火)から5月20日(金)までの期間、蔵書点検を行なっています。

 

「長い間休館をして何をしているのか」といぶかしく思っておられる方も多いかもしれません。
そこで蔵書点検では、どんなことをしているのかをチョットお知らせしたいと思います。

 

<曝書と蔵書点検の豆知識>

 昔、文書を扱う役所などでは、「曝書(ばくしょ)」という作業がありました。「曝書」とは、書物を虫干しにすること(『広辞苑』より)で、和装本や漢籍は、夏の強い日光に本をひらいて数時間さらし乾燥させ同時に殺虫していました。
近代になると図書館などでは、洋装本などを日陰で干して通風していたそうです。(『図書館のハンドブック』より)
天候を気にしながら図書館の周りや広場を使って本を並べ「虫干し」「通風」をしている風情を想像するだけで楽しくなります。
私たちは、この名残で蔵書点検のことを「バクショ」と言ったりもします。

蔵書点検とは

 蔵書点検というのは、簡単に言えば「棚卸」のことです。県民の皆さんの貴重な財産であります蔵書が無くなっていないか、実際に資料のある場所とデータベースの記述が正しく一致しているかを確認したり、不明な図書の特定などを行います。その他にも増加する蔵書をうまく管理するため書架移動など日常では出来ない作業を行っています。

 当館のホームページや開館日カレンダーには、赤字で表記されています。現在のように電算システムによる図書館サービスになる前は、蔵書点検期間も3週間以上を要していました。

当館は、平成17年のオープン後は、開架の蔵書冊数も大幅に増加しました。今回は開架の図書・雑誌・視聴覚資料や貴重書庫内の資料を合わせて23万冊が点検対象となっています。
 それでは当館の蔵書点検では具体的にどんな作業を行っているかを述べたいと思います。

開架資料の点検作業

  1. 職員がハンディターミナルという携帯用の端末機を持って図書や雑誌1冊1冊のバーコードを読み込んでいきます。
    この時、読み漏れのないように「ピッ」「ピッ」という読み込む音を確認しながら作業します。地図や辞書類、美術全集など大きな本を抱えながら読み取ることもあって、なかなか骨の折れる仕事です。
  2.  

  3. ハンディターミナルで読み込んだデータとホストの蔵書点検用データを照合し、なくなった資料がないか、誤って配架された資料がないかを確認します。
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  5. あるべき場所にない資料については、リストが打ち出され、追跡調査作業に入ります。ここからが図書館員の目と頭と勘を働かせた作業になります。
    「未点検リスト」を持って図書や雑誌を直接確認します。書架のうしろに入り込んだり、細い本の場合は他の本にはさまっている場合もあります。
    書架の下をのぞいたり、体をねじったりの作業が続きます。

配架整理の様子 ハンディ読取の様子

和装本などの点検作業

  1. 近世から明治初期までの和装本は、貴重書庫内にありますが、開架図書と同じ点検作業になります。古文書や絵図など形態の異なる資料は、点検がしにくく取扱いに注意を要します。
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  3. 未点検リストをもとに、開架の資料と同様に調査作業に入ります。

 大量の資料を調査するために作業進捗と日程のプレッシャーを感じながら正確な点検を心がけて点検作業を続けています。合わせて、傷んだ資料の補修や日に焼けたラベルの張り替えなども行います。

点検作業雑感

 点検中に行う大きな作業はこのようなものですが、日頃の業務と異なって使う神経や体力も違い、カウンター業務から離れ、決められた期間内で集中的に作業しています。
 今後も少しでも効率よく、短時間で作業を行うよう努力していきますが、お求めの資料を正しく迅速に提供していくために必要な作業です。ご理解とご協力をお願いします。

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