素麺は、奈良時代に中国から伝えられた。その原形は、「索餅(さくへい)」と呼ばれる小麦粉と米粉を練って縄のように細長くねじった唐菓子の一種で、奈良時代の貴族が食べる特別なものだったいう。
現在、数ある素麺のなかでも、桜井市三輪を中心に生産されている素麺は三輪素麺と呼ばれ、県の特産品として広く知られている。
その歴史は古く、わが国最古の神社である大神神社の大神主が、大和地方の飢饉(ききん)を救うため、この地の小麦を粉にひき、棒状に練り乾燥させ、保存食としたのが始まりとされる。
このことから、三輪地方は素麺発祥の地といわれ、三輪素麺には、奈良県三輪素麺工業協同組合の認定品として鳥居印が付けられている。
三輪素麺の原材料は、小麦粉、食塩、食用植物油のみで、極寒期に手延べし、寒風にさらして精製される。その特徴は、腰があり、煮崩れしにくく、独特の歯応えと舌触りの良さにある。
※写真は、玉井製麺所(奈良県桜井市三輪214)で撮影