『知ってる?正倉院-今なおかがやく宝物たち-』

作成者
読売新聞社編
出版者
ミネルヴァ書房
刊年
2011.6

  錦秋の奈良の一押しといえば、やはり正倉院展。今年は63回目を迎え、10月29日(土)から11月14日(月)まで、奈良市の奈良国立博物館で開催されます。 今回は「蘭奢待(らんじゃたい)」、「金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんそうのからたち)」、「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」、「佐波理合子(さはりのごうす)」など 62件(初出展17件)が公開されるそうです。
  正倉院の名前は知っているけれど、どんな目的で創られ、何を納めているのか。また、納められている宝物や正倉院の歴史について、コンパクトにまとまっている 本はないか。そんな方にお奨めするのが『知ってる?正倉院』です。
  この本は、小学校高学年向きに編まれたもので、編者は読売新聞社、奈良国立博物館が監修しています。小学生向けといっても侮るなかれ。執筆陣は東大寺長老の 森本公誠氏、元奈良国立文化財研究所長の鈴木嘉吉氏、奈良大学文学部教授の東野治之氏、マンガ家の里中満智子氏などそうそうたる人たちが、正倉院の宝物や歴史、聖武天皇と 光明皇后、シルクロードや遣唐使のことまで、わかりやすく解説しコメントを載せています。
   ほかにも、作家、漆芸家、雅楽師、書家、元正倉院事務所職員など、ゆかりのある人たちが正倉院の世界や魅力を紹介しています。字が大きくて、ルビ付きという のもうれしいところです。でもちょっと物足りないとい方は、巻末の主な参考文献で知識を深めてみてください。
  ところで、正倉院展は、敗戦で疲弊した国民を元気づけ、日本文化のすばらしさを再認識してもらいたいという声に応えるため、1946年(昭和21年)に「正倉院特別展観」 として第1回が開催され、20日間で約15万人が訪れたそうです。当館では正倉院展の目録を第1回から第62回まで一部複製のものを含め、全部の目録が揃っていますので、 正倉院展の変遷を目録から確かめることができます。正倉院や宝物に関する書籍とあわせて、ぜひ、一度ご覧ください。