「木村秋則と自然栽培の世界 : 無肥料・無農薬でここまでできる」

作成者
木村秋則責任編集
出版者
日本経済新聞出版社
刊年
2010.6

  東日本大震災から3か月が過ぎ、復興に向けた様々な取り組みが進められていま す。当館でも、義援金募集の案内や、避難されている方への利用者カード発行などの対応を行っています。
 「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える」とはマルティン・ルターの言葉ですが、以前このコーナーでご紹介したシェル・シルヴァスタ インの『おおきな木』をはじめ多くの作品にリンゴの木が登場するように、ヨーロッパでは古くから、庭にリンゴの木を植える習慣があるそうです。
 日本のリンゴ生産地としては青森県や長野県が有名ですが、農林水産省の『平成20年特産果樹生産動態等調査(2011年1月13日公表)』によりますと、リ ンゴを1ヘクタール以上栽培している地域は、北海道から九州まで35都道府県あるそうです。奈良県もその一つで、県内のホームセンターや園芸店では、一般家庭 向けに数種類のリンゴの苗が売られています。
  さて、今回ご紹介する図書は、無肥料・無農薬栽培を実践するリンゴ農家の木村秋則氏が提唱する「自然栽培」の手引書です。同氏によれば自然栽培のノウハウは 農作物全般への応用が可能とのことで、自然栽培と有機栽培との違いや土の重要性、なぜ畝を作るのかなどについてわかりやすく書かれているほか、農学者による科学 的な考察もあります。また、自然栽培に取り組んでいる米・野菜・茶農家の事例も多く紹介されており、巻末にはお米と野菜の自然栽培マニュアルも掲載されています。
  家庭菜園を始める人が増えていると聞きます。就農希望者も含めて、とても参考になる一冊です。