『だから人は本を読む』

作成者
福原義春著
出版者
東洋経済新報社
刊年
2009.9

著者である福原義春氏は、日本有数の企業である資生堂の名誉会長をはじめ、企業メセナ協議会会長などを務める実業家である。
  1931年生まれの著者が中学生時代を送ったのは疎開先であった。 その地で有り余る時間を読書に充て、父親の持つ大量の蔵書を次々と読んでいった。本書では、このような少年時代の体験やその後の 読書経験に基づいて、本を読むことについての氏の考えや、読書によって得られることなどが綴られている。
  企業人でありながら、これまでビジネス書やハウツー本はあまり読んでこなかった。なかには役立つものもあり、食べものに例える とそれはスナック菓子やチョコレートのように美味しいものではあるが主食ではない。
  氏が影響を受けてきた本として、日本のみならず世界の様々な分野の古典から現代作品まで十数冊が紹介されている。教科書に 掲載されるような有名な作品にもかかわらず、あまり通読する機会がないであろう著作も含まれている。そのような少しとっつきに くい感じのする作品も読んでみたいと思わせてくれる一冊である。