『ん : 日本語最後の謎に挑む』

作成者
山口謡司著
出版者
新潮社
刊年
2010

  まず、『ん』という書名に惹かれました。日本語の50音順は「あ」から始まり、 50音に含まれない「ん」で終わりますが、この最後の「ん」に焦点をあてた本です。
  本書によると、奈良時代の文献『古事記』『日本書紀』『万葉集』などに「ん」を 書き表す文字はひとつも使われていなかったそうです。当時は、まだ平仮名や片仮名 はなく、漢字を利用した万葉仮名で文字は表記されていましたが、ほかの50音と異 なり、「ん」を書き表すためのもととなる漢字がなかったことを理由にあげています。 では、いつ頃から表記されるようになったのでしょうか?それは、この本を読むこと で分かります。
  本書の内容は、上記の「ん」の起源のほか、「ん」と仏教との関わりや、明治以降 の「ん」の研究など、「ん」に関する薀蓄がもりだくさんで、「んー、なるほど」と 唸ってしまう一冊です。