『校閲記者の日本語真剣勝負』

作成者
東京新聞・中日新聞編
出版者
東京新聞
刊年
2019.6

 本を読んでいると、たまに誤字などを見つけることがあります。作る時に気づかなかったのかなあ、とちょっと残念な気持ちになりますが、実際に自分が文章を書く側になると、こんなに短い文章であっても、誤字脱字のない、使用している言葉にも文法にも間違いのない文章を書くのはいかに難しいことであるかを実感します。
 しかし、大半の本には誤字脱字等はありません。それは、文書や原稿に目を通して正誤・適否を確かめる校閲者の仕事のおかげです。その中でも、日刊のため短い時間しかないなかで、新聞の使命として正しい情報を伝えるために、ミスのない完璧な内容を求められる新聞の校閲記者は、本当に大変な仕事だろうと思います。
 本書では、そういった新聞社の校閲部がどんな仕事をどのように日々行っているのかをまず序章で説明しています。そして次章からは、東京新聞・中日新聞の校閲部が新聞に連載した言葉に関するコラムが、言葉の気になる表現、意外な語源の言葉、似て非なる言葉、使い方が変化した言葉、悩ましい読み方、などテーマ別にまとめられています。例えば、「おざなり」と「なおざり」の違い、新人を意味する「新米」は米が由来ではない、「早」と「速」の使い分け、「ら抜き言葉」、などといったものが挙げられています。
 基本的には言葉に関する雑学本ですが、本書を読むと、言葉が日々変化していくものであり、その中でいかに多くの人にわかってもらえる言葉を選ぶかに日々奮闘している校閲記者の様子が伝わってきます。ぜひ、本書を読んで、日本語の難しさ、奥深さを感じてください。