『子どもと一緒に覚えたい 毒生物の名前: name of the poisonous creature』

作成者
ふじのくに地球環境史ミュージアム監修 加古川利彦絵
出版者
マイルスタッフ(発行)インプレス (発売)
刊年
2018.7

 春に野山で美しい花を咲かせた植物や緑の木々も、秋になると赤や黄色に葉を染めて紅葉が始まります。庭や野の草木にも赤や紫の実がなり、山中に入るとキノコが鮮やかな色と変わった形で私達の目を楽しませてくれます。思わず手に取りたくなるような姿ですが、ここで実は注意しなくてはならないことがあるのです。
 海に棲む神秘的なクラゲや、可愛いカニ、小魚にも恐ろしい毒があります。おいしそうな実やキノコも間違って食べると大変危険です。
 本文で紹介されている中で「チャドクガ」の被害に私自身も遭ったことがあります。自治会で毎年恒例の地域清掃の時、噂には聞いていたのですが、実態を知らなかったこともあり、目に見えない毒にやられて腕や首に赤い蕁麻疹が出て病院のお世話になりました。既に死んで姿は見えなかったのですが、その死骸(毛)やフンでも負けることがあるそうなんです。その時初めて「チャドクガ」の怖さを知りました。
 本書は、私たちが外に出かけた時に遭遇するかもしれない身近な毒生物に絞って、写真やイラストを多用し詳しく紹介しています。痛さや痒さは注射や蚊に刺されたときを基準にしたり、致死量をネズミや家畜の数で表すなど、子どもにもわかりやすいように工夫を凝らしています。危険度レベルやその後の対処の仕方もアイコンで示しています。これから、外に出かける前に、子どもたちと一緒にぜひ一度読んで見ることをお勧めします。毒のあるものとないもの、よく似た姿形をしています。手に取る前に危険を避けられるように知識を身に着けておけば安心です。
 毒生物は毒によって自分の身を守り、今日まで種を存続させてきました。私達も自身で身を守り、多種の生物と共存していくことを考えていかなくてはなりません。
 読み終えて、今、生物の不思議な世界を垣間見た気がしています。