『世界の雪景色』

作成者
海野弘 解説 ; アマナイメージズ, アフロ 写真
出版者
パイインターナショナル
刊年
2014.11

 日本は、まだ4月というのに、もう各地で夏日や真夏日を記録し、春は何処にという今日この頃です。涼を求めてか『世界の雪景色』という本を思わず手にしました。
 青く美しく澄んだ雪景色の表紙写真は、ドイツ、バイエルンのベネディクト‐ボイエルン修道院の雪景色ですが、表紙をめくらずにいられない清々しさに引き込まれます。
 本書は、世界の雪景色を集めた写真集です。見開きに掲載された各地の雪景色の写真1枚1枚に、海野弘さんの短い詩のような素敵な標題が付けられ、解説が載せられています。各1ページがそれだけで一つの物語のようです。写真に魅せられ解説に引き込まれてしまいます。単なる写真集ではない、もっと奥深い世界をも感じさせてくれる1冊です。
 「雪が降ってきた。うつむいて通りを歩く人も空を見上げる。」ドイツ、ローテンブルクの街の家々の屋根に雪が降り始めたころのセピア色の写真につけられた標題です。こんな風景とそんな経験が確かにあります。ラップランドのトナカイの写真は、サンタクロースがいてワクワクしますが、雪の女王が今にも現れそうなほど雪深い森林地域でもあります。雪は、見慣れた町の風景も自然の姿も不思議に別世界へと魔法をかけてしまうようです。静寂の中に夢と幻想が交差する世界に心奪われる写真集です。
 ヨーロッパの写真が中心となっていますが、最後に「冬のスペクタル」として日本の長野県諏訪市で撮影された“ダイヤモンドダスト”の写真が掲載されています。機会があれば一度見てみたいものです。