『鉱物のお菓子』

作成者
さとうかよこ 著 ; きらら舎, シャララ舎, アドリア洋菓子店 レシピ・レクチャー
出版者
玄光社
刊年
2017.10

 本書はお菓子のレシピ集であるが、一見すると鉱物の標本集かと間違えてしまう本である。キラキラ輝く鉱物をただ愛でるだけでなく、美味しく味わうための一冊となっている。
 著者のさとうかよこ氏は、鉱物や理科趣味雑貨を販売するショップ「きらら舎」オーナーの鉱物愛好家でもあり、カフェや様々な理科系ワークショップも主催。もと小学校教諭だそうである。
 きらら舎, シャララ舎, アドリア洋菓子店によるレシピのレクチャーはじめ、ギフトラッピングやプレーティングの仕方やパッキング方法・結晶カットの方法などレシピだけでなく伝授され何倍にも楽しめる一冊となっている。実際の鉱物を採取する一般愛好家も増加しているようで、特に昨今は鉱物女子と呼ばれるなど女性にも多いそうである。
 鉱物には「劈(へき)開(かい)」といって一定方向に割れやすい性質を持ったものがあり、その性質を利用して人の手で割ったものが「劈開片」である。
 琥珀糖は、煮溶かした寒天に砂糖や水飴を加え固めた和菓子であるが、八面体鉱物のようにカットされビンや標本箱に収められると実際の鉱物と本当に間違えてしまいそうである。
 アガーの方解石劈開片など洋菓子やマジパンの藍銅鉱や鉱物ソーダなど、どのページも見ているだけで楽しく、また実際にレシピ通りに自分で作れば自宅にいながら鉱物採取の気分も味わえそうな一冊である。