『翻訳できない世界のことば』

作成者

エラ・フランシス・サンダース著イラスト ; 前田まゆみ訳

出版者

創元社

刊年

2016.4

  私たちが使っている言葉の中には、他の言語に訳す時にひとことでは言い表せない、ユニークな単語があります。著者は、英語に訳すときに1対1で対応する単語がないような各国固有の言葉を世界中から集めたそうです。本書はその日本語訳版で、英語に翻訳できない日本語も取り上げられています。
 それぞれの単語には意味と解説がつけられており、中には思いがけない一言が添えられていることも。なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち「ボケっと」。著者はこの言葉を、「日本人がなにも考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしているのはすてきだと思います」と紹介しています。
 その国らしさが感じられる言葉は他にもあり、食べ物に関係する言葉は特に、お国柄が表れているように思います。ノルウェー語では、パンにのせて食べるものは、チーズ、肉、ピーナッツ・バター、レタス、なんでもみんな「ポーレッグ」と言い、マレー語では、バナナを食べるときの所要時間を「ピサンザプラ」と言うそうです。
 また、涙ぐむような物語にふれた感動、すてきなことが起きたときに感じる蝶が舞っているような気分、旅に出る直前の不安と期待が入り混じった胸のドキドキといった、感情表現も取り上げられています。今まではっきりと表現したことのなかった考えや感情が他の国の言葉の中に見つかれば、とらえどころのない、表現しにくい気持ちに言葉を与えることができるかもしれません。
 パラパラとめくって好きな言葉を探したり、国ごとに読んでみたり、いろいろな楽しみ方で、新しい言葉に出会える一冊です。