『オリオン星雲 : 星が生まれるところ』

作成者
C・ロバート・オデール著/土井ひとみ訳
出版者
恒星社厚生閣
刊年
2011.9

奈良県立図書情報館は平成17年11月3日に生まれました。そしてこの10年の間に、多くの方が当館の資料や機器を利用されて、新たな情報や作品を生みだしていっておられます。
今回は「生まれる」という話の中でも大きな話、「星が生まれる」話が書かれている本を紹介させていただきます。
星も生まれてそして死んでいきます。星は最期に超新星爆発という大きな爆発を起こしますが、この衝撃で周辺のガスに圧縮や回転がおこり、その中心部の熱がどんどんあがったあと、核融合などの複雑な過程を経て、星の赤ちゃんが生まれます。この現象が活発に起こっている場所が本書で取り上げられている「オリオン星雲(オリオン大星雲ともいいます)」です。ガスが重要な要素ですので、ガスでぼやっとした形に見えるため星雲と呼ばれます。
著者ロバート・オデールは、子どものころからオリオン星雲が大好きで天文学者になり、ついにはあのハッブル宇宙望遠鏡のプロジェクトにかかわり、星の誕生を解明するのに大きな功績を遺した方です。ハッブル望遠鏡が宇宙に打上げられたおかげで今までに見えなかったものが見え、大きな発見が多くなされましたが、打ち上げ後に発見され、スペースシャトルで大修理が行われた欠陥の暴露話も本書では取り上げられているのが興味深いです。本書はオリオン星雲について今わかっていることを読者に伝えることはもちろん、観測の歴史や星の構造から地球外生命体が存在する可能性まで幅広く取り上げられており、天文学を本格的にまなび始めたい方にもおすすめの本です。
最後にオリオン星雲の見つけ方です。オリオン座には特徴的な横に3つ並ぶ星があります。その下に少し小さめの星が縦に3つ並んでいるのが見つかれば、その真ん中の星がオリオン星雲です。肉眼ではわかりにくいかもしれませんが、ほかの星よりもぼやっとかすんで見えればそれが星雲である証拠です。星々がキラキラと生まれている姿を想像してみてください。