『「図説」虹の文化史』

作成者
杉山久仁彦著
出版者
河出書房新社
刊年
2013.12

全国的に梅雨の季節です。でも、虹が出るのをを楽しみにできると、今よりもっと、梅雨の時期を楽しく過ごせるかもしれません。
今回紹介する本は、とにかく虹に関することが1冊にまとめられた、虹を知りたい人にとってこれ以上のものはないと思われる本です。
「それにしても、虹の7色ってどの色だったかな」と思ってページを繰ると、「はじめに」の部分で触れられていました。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫が、日本では一般的なようです。オーストラリア、フランスは日本と同じく7色、アメリカとイギリスは藍以外の6色、ドイツ、ロシアは、橙、藍以外の5色、ベルギーは藍、紫以外の5色。
なぜ日本では7色かということについては、ニュートンが虹など光の研究をまとめた『光学』※という本(1704年刊)に7色と規定されており、これのオランダ語訳が幕末に日本へ伝わり、幕末から明治期に七色が定着したという記述がありました。イギリスでの色数について言及した記述は見つかりませんでしたが、すでに『光学』が出版された直後からさまざまな反論を受けていたらしく、これが影響しているように思えます。反論した人物の中には詩人として有名なゲーテも含まれていました。のちの研究などから、ニュートンは錬金術の研究も行っており、宗教的な発想を科学こじつけていたと、著者は論じています。
雨上がりに日がさしていたら、太陽がある方向と逆の方向で虹を探してください。太陽の光が雨にあたって、それが反射したものが虹となって見えますので、太陽の高度が高い日中よりも、朝や夕方のほうが大きな虹が見えやすいのです。ちなみに紹介したこの本を見つけるのには、タイトル文字が銀色で虹色に反射しているものを探すと見つけやすいのです。
ニュートン『光学』(岩波文庫)080-12-4.904.1