『沸騰!図書館 : 100万人が訪れた驚きのハコモノ』

作成者
樋渡啓祐著
出版者
KADOKAWA
刊年
2014.5

 著者は、TSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)を指定管理者にして武雄市図書館をリニューアルした武雄市長である。反対派を説得し、オープンにこぎつけるまでの苦闘と、その後の1年を市長の立場からつづっている。
 図書館は、もともと入館者数・貸出冊数ともに多い方だったので、改革には消極的だった。しかし市長は、知的インフラであれば、もっと多くの市民に使ってもらうようにするべきだとして改革を行った。民間企業導入を考えるようになったのは2010年頃。はじめは地元の書店組合に図書館運営の話をもちかけたが断れてしまった。そんな時、テレビ番組「カンブリア宮殿」でCCCの増田宗昭社長を見て、一目惚れしたという。2012年8月にはスターバックスが出店を決め、2013年4月のオープンに向けて動き出した。
 リニューアルした図書館を「公設民営ブックカフェ」と批判する人もいる。図書館関係の専門家は、「武雄ナレッジパーク」とか「知のワンダーランド」「武雄ドーム」と名付けたらどうかと言い、図書館としての評価はあまり高くない。しかし市長は、選挙で武雄市図書館のリニューアルオープンは市民から信任を得たものだと胸を張る。今や図書館は武雄市にとって街作りのエンジンとなっている。
 図書館がこれほどインパクトのある施設であることを示してくれたのは大きな刺激である。図書館の新しい形を示す一例として貴重な成果だろう。