『「もの」はどのようにつくられているのか? : プロダクトデザインのプロセス事典(Make: Japan books)』

作成者
Chris Lefteri著/水原文訳
出版者
オライリー・ジャパン/オーム社 (発売)
刊年
2014.5

ろくろ加工、型抜き加工、レーザー切断、手吹きガラスなど、なんとなく想像がつく加工技法から、インサート成形、後方衝突押出成形など、あまり聞いたことがなく、何を作るためのものかわからない技法まで、約130もの加工技法を種類別にわかりやすく紹介している本です。

工業技術の難しい本かしら?と思いながらパラパラめくっていたら、赤い注ぎ口がついたおなじみのキッコーマンの醤油びんの写真が目にとまりました。このびんは「吹きガラスと中空成形」という技法で作られており、図と写真で、製造過程が書かれています。文章にすると難しいですが、少し説明してみます。まず、溶かしたガラスを、逆さの状態の型(注ぎ口が下、底が上)に入れ、真ん中が空洞になるように注ぎ口側から空気を入れつつ、注ぎ口部分を成形していきます。次に型を180度回転させてから、最終の型に入れ替え、さらに空気を入れながら、底の部分を成形して出来上がります。

型は、中のびんを取りだすために二つにわかれるようになっているため、出来上がったびんにはわずかな縦の筋がついています。いろいろなびんでこの筋を見かけますが、こういうことだったのですね。

この本には、ボールペンや水筒、椅子など、いろいろなものが取り上げられていますので、こどもの疑問に答えるのにも役立つかもしれません。そして、製造工程だけでなく、その技法で製造できる製品のサイズや加工できる材料、製造時の単価、設備投資の解説、さらに詳しい情報がわかるウェブ情報の紹介などもコンパクトにまとまられているので、自分でも何かを作りたいと思っている方にもとても役立つと思います。

読めば、何かを発明したくなるかもしれません。