『世界の夢の本屋さん』

出版者
エクスナレッジ
刊年
2011.7-

   図書館に来られる方なら、本屋さんにもよく立ち寄る、という方は多いのではないでしょうか。この本はその名のとおり、本好きにはたまらない、世界に点在する夢のような本屋さんを紹介している本です。

 現在で3巻まで出版されており、どの巻も国別に数店舗ずつ掲載されていますが、まずは、それぞれの本屋さんの外装や内装の極彩色あふれる写真に目を奪われます。例えば美術館のような豪奢な建物、先鋭的アートが感じられるモダンなインテリア、中には個人住宅を改装した本屋さんもあります。カフェやギャラリーを併設しているところも多く、均一的なネット販売にはない実店舗の強みとして、そこに身を置きたくなるような素敵な空間が演出されています。

   各本屋さんのページには、店の特徴や働く方の店に対する想いが書かれています。例えばイタリア・ボローニャのジャンニーノ・ストッパーニという子ども向けの書店は、世界で唯一の児童書の国際見本市、ボローニャ児童書展が開かれる地とあって、本屋さんを上手に利用できるようになるための、子どもたちを対象としたガイドツアーを開いているそうです。本屋さんの棚をまわって本を手に取り、書名や著者名といった情報を読み取る、見終わったら元の場所に戻すこと、丁寧に扱うこと、興味や予算にあわせて本を決め、お金を払い、家に持ち帰って自分の書棚に作り上げていく。こうして自分のものになった本には、かけがえのない文化的価値が生まれると店では考えているのだそうです。

   そして日本からは、東京、札幌、京都、松江にある個性豊かな本屋さんが2巻に紹介されています。こちらなら、機会をつくって行けるかもしれませんね。

  本屋さんで働く方は、「書店の仕事は儲からないし、重労働。でも、楽しくてやりがいがあるし誇りもある」と異口同音にコメントしています。専門分野を追求した選書だったり、地域コミュニティの役割を果たしていたりと、本の販売だけではない、本屋さんの多彩な魅力が伝わってきます。こんな本屋さんが近くにあったら・・・と、ひととき夢をみることができるシリーズです。