『ニッポン定番メニュー事始め』

作成者
澁川祐子著
出版者
彩流社
刊年
2013.9

  カレー、餃子、牛丼、肉じゃが、ラーメン、オムライス…。今や私たちの食生活に欠かせない定番料理の数々ですが、それがいつ、どのように生まれ 日本に根づいていったのか、そのルーツを丁寧に探っているのがこの一冊です。
  本書に登場するメニューは、全26種。著者はこのテーマを書くにあたり、あえて「元祖」とされる店から直接話は聞かないという方針を立て、一般に 出回っている説を、文献によって改めて検証しています。調べていく中で、通説を揺るがすような記述を発見することも少なくなかったそうですが、迷 宮にはまり込んだメニューもあり、予想以上にわからないことだらけだったといいます。
  日本で定番となった料理の特色は、いかにごはんに合うかを考えてアレンジが加えられていること。例えば、「餃子」。日本では餃子というと、一般 的に「焼き餃子」のことですが、世界では「蒸し餃子」か「水餃子」の方が広く食されています。日本で「焼き餃子」が主流となったのは、ごはんを合 わせるには、油の香ばしさが適しており、さらに中国では使われないにんにくやラー油なども取り入れることで、「いかにごはんが進むか」を物差しと して進化していったからなのだそうです。
  本書を読むと、新しい食材を受け入れ、なじみのある食材と組み合わせたり、もとからある料理をヒントに手を加えたりして、自分たちのものにして きた先人たちの努力に感謝の念を捧げたくなります。ルーツを知ることで、もっとおいしくなる料理の数々をぜひ本書とともに味わってください。