『深海生物:奇妙で楽しいいきもの』

作成者
石垣幸二執筆・監修
出版者
笠倉出版社
刊年
2013.7

  深海生物と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。“暗い海の底に静かに生息している生物”という漠然としたイメージはあっても、 特定の個体名はもとより、姿かたちもおぼろげにしか分からないのではないでしょうか。
  そんな謎につつまれた深海生物界で密かに脚光をあびているのがダイオウグソクムシ。体長20~40センチもあるダンゴムシの仲間です。もともと 小食な彼らですが、三重県の鳥羽水族館で飼育されているダイオウグソクムシの一匹が、最後にエサを食べてから5年近くも絶食を続けていると話題に なり、その生態に注目が集まりました。
  今回ご紹介する資料には、ダイオウグソクムシをはじめ60種もの深海生物がカラー写真で掲載されています。特徴的な部位のアップ、顔を正面から 撮ったものなど、水族館の展示でも見られないようなショットが満載です。
  一般に水深200メートルより深い海を深海と呼ぶそうですが、水深が深くなるほどに、光が届かない、エサが少ない、とてつもない水圧がかかる、 と生物にとって過酷な環境となります。このような環境に適応すべく進化した結果、深海生物たちはあの独特のルックスになったのだそうです。
  かなり個性的な、若干キモチワルイものから、どこかとぼけた感じがかわいいものまで、様々なタイプの深海生物が収録された本書。初めて目にする 深海生物にちょっと衝撃を受けてしまう一冊です。