『ヨーロッパの古城と宮殿 : 戦乱・悲劇・繁栄の記憶を伝える76城』

作成者
藤井信行著
出版者
新人物往来社
刊年
2012.9

  ヨーロッパには、観光スポットとして有名な古城や宮殿が多くあります。旅の途中に壮麗な建築物を訪ねるなら、あわせてその歴史を知っておくと良 いかもしれません。
  ヨーロッパの城や宮殿は、国王や皇帝の住居として、また戦いの要として各国に点在しています。そして、それぞれが独自の歴史を持つ歴史遺産です。 ヨーロッパの城や宮殿といえば豪華絢爛さが思い浮かびますが、見た目の美しさだけが魅力なのではありません。本書は城や宮殿を建築物としてではな く、歴史の舞台として紹介しています。
  フランスのルーブル美術館が、元は宮殿だったことをご存知でしょうか。
  もともと、かの地にはパリ防衛のための城砦がありました。建替えを行っているため城砦当時の姿を残しているわけではありませんが、十六世紀には現 代の建物の原型とも言える宮殿が造られ、代々の王が手を加えて十八世紀に現在の姿となりました。
  古城には軍事的な背景が付きまとうものが多くあります。白雪姫のお城のモデルとして知られる、スペインのアルカサルは難攻不落を誇った軍事的な 城塞として、イギリスのロンドン塔は監獄として辿った数奇な運命が紹介されています。
  一方で、少ないながらも城塞の機能を全く持たず、初めから戦闘を想定せずに建てられた城もあります。フランスのシャンボール城やドイツのノイシ ュヴァンシュタイン城がそうです。居住性よりも芸術性が追及したり、設計を画家に依頼したりと、それぞれの王が愛した芸術が具現化された城になっ ています。
  このように、どのような歴史を経てきたかを知れば、城や宮殿に対する見方が少し変わるかもしれません。その外観や内装、壮大な庭園だけではなく、 歴史的出来事や人物、伝説、神話が城や宮殿をより魅力あるものへとしてくれます。
  一冊の本から、旅の楽しみを増やしてみませんか。